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news危険信号「ペーパー あと何枚やるの?」
受験の年になると、やるべきことが増えてあれもこれもとこれまで以上に
お子さまと親御さまの負担が増えていきます。
早くから準備をしてきたはずでも、その時期にならないと取り組めないことはあります。
ペーパー学習は年長組になると難易度が上がり量も増えていきますので、負担になってくる
と思います。
お子さまも最初はペーパー学習を嫌がらずに取り組んでいても、 難度が上がり解く量が増え
わからない問題が続いてしまうと、解いている途中で「あと何枚やるの?」と残りのページを
気にするようになることはないでしょうか。
その時はお子さまの親御さまへの何かしらのサインかもしれないです。
お子さまのサインを逃さず受け留めて、対応が必要です。
お子さまの言葉に込められた意味を考える
〇1週間のスケジュールがタイト過ぎて、意欲がでない。
習い事を多く詰め込み過ぎてしまうと、ひとりの時間が確保できずに自由に過ごせる時間が減って
ストレスを発散することが上手くできなくなります。
〔解決策〕
お子さまの心身の様子をみながら、習い事の優先順位を決め習い事によっては受験後まで休会するなどして、自由に過ごせて心が満たされる時間をつくり、心身にマイナスの影響がでないよう配慮が大切です。
〇親御さまの期待に応えようとし過ぎていて、ストレスを感じている。
自分の気持ちより周りを優先したり、嫌なことを嫌と言えなくなり親御さまのいう基準に行動するようになり人の顔色をうかがうようになることもあります。
自分の感情を抑え込んでストレスや不安を抱え込みやすくなります。
〔解決策〕
お子さまの自主性を尊重し、意見や考えに耳を傾け過剰な期待をせず可能性を引き出せるような言葉をかけし、お子さまの良いところをしっかり認めてあげる。
〇過度な期待へのプレッシャーがある。
大好きな親御さまに認められたいと思い無意識に期待に応えようと頑張って、認めてもうことに目的が向いたり、認めてもらえなかった時の不安を感じてしまい自分のことなのに親御さまのための行動になってしまうかもしれません。
〔解決策〕
お子さまの意見を尊重し、自分のやっていることは自分自身のための学習と意識できるようなサポートが大切です。お子さまの成功体験を積極的に支援し自己肯定感を高めることで意欲と自信に繋げます。
〇お勉強のような学習が苦痛になっている。
〇ただただペーパーを解くことを楽しいと思えない。
ある時、急にペーパーを解きたくないと言い始め、拒否反応を示すことがあります。
その時期は夏以降に見られることが多いと感じます。
〔解決策〕
ペーパー学習をする時はそのお子さまが、どこにつまずいているかを見極めながら、
その段階に合った具体物を通して
「学ぶ楽しさ」を感じることで意欲を生みだす学習をおこない、
「学ぶ楽しさ、わかる嬉しさ、できる自信」という、成功体験の好循環をつくっていきます。
ここで幼児期の遊びについて考えてほしいのです。
ペーパー学習で疲れているかと思うと、学習が終わったあとはもと通りに元気になり自分の好きな
遊びは集中して取り組む姿をご覧になった経験はあると思います。
幼児にとっての遊びは成長や発達にとって重要な体験が多く含まれています。
目的や課題達成のためではなく、興味のあることを存分にでき、自らの興味・関心を持ったことから
の体験的な学びがあります。
遊びのようにお子さまが興味・関心・好奇心などのポジティブな感情や気持ちからの、お子さま自身
が楽しい・面白いと思って活動したしたことは能力として残っていき、やらされて嫌だという気持
ちがあるとその能力は消えてしまうと言われています。
生徒さまの中に、ぺーパー学習で具体物を通しての学習を始めると「何か わくわくする」と
いう言葉を聞きます。そのあとは「頭から湯気が出ている?」というくらい意欲的に一生懸命に学習を楽しんでいます。
生徒さまが楽しいと思って活動しているので、「残る能力」として力をつけています。
その姿はご家庭で、お子さまの話に耳を傾け意見を尊重し、また蝶の羽化や蚕から繭になる過程を観察したり、好きなことをとことん追求できる体験をされたり、授業後にはお父さまと思いっきり体を動かして遊んだり、時間を上手く使われてお子さまの気持ちが満たされるサポートをされていています。その他でもご家庭力の高さを感じております。
家庭教師がお子さまと向き合える時間は限られております。その時間だけでは受験対策としては不十分であり、受験を成功に導くには親御さまの協力が欠かせません。
授業後のその日の内容や理解度・家庭学習の具体的な課題など親御さまへお伝えする時間や不安に思われいることのご相談の時間は十分にお取りし大切にしております。
月齢の考慮はあっても試験日は決まっていますので、焦る気持ちもよくわかります。
「ペーパー あと何枚やるの?」と聞かれた時は、能力として残る学習の見直しをして、
お子さまが自分の学習として取り組めるような学ぶ環境を整えてみてください。
【参考文献】
汐見稔幸『新時代の保育のキーワード 乳幼児の学びを未来につなぐ12講』2024年
小田豊・神長美津子・西村重稀 編著 『保育内容総論』光生館 2005年